マイケル・キスクが好き過ぎる件

【登場人物】

マイケル・キスク:ハロウィンの元ボーカル。通称ミッヒ

カイ・ハンセン:ハロウィンの元ギター。後のキスクの盟友

わたし:こじらせたメタラー

 

行ってきました、HELLOWEEN来日公演。

チケ発売は去年の8月、子は2カ月。行けるのか?諦めるか?

今回の公演は脱退したマイケル・キスクカイ・ハンセンを今回だけ呼び戻して当時の曲を演奏するという、スペシャルな内容のリユニオンツアー。仲違いで去ったキスクがハロウィンで再び歌うのをこの目で見る事は私の悲願中の悲願であり、この機を逃したら一生観れないかも!散々迷ったけど、母と夫に頼み込み観に行って来ました。

 

時は私の高校時代にさかのぼります。メタルの中にも細かくジャンル分けがあるんだけど、北欧メタルほど大仰でなく、NWOBHM(イギリスのメタル)ほど湿っぽくもなく、程よく速い、程よくメロディアスなジャーマンメタルにハマった私は、ハロウィンの名盤「守護神伝Ⅰ」「守護神伝Ⅱ」を穴があくほど聴いていました。キスクの伸びやかで艶のあるハイトーンボイスがドコドコツーバスとピロピロギターに乗っかって、脂の乗りきった本当に良いアルバム。

 

ただ私はハロウィン絶世期はオンタイムではなくて、私がメタル心付いた頃にはカイ・ハンセンはもう居なくて、替わってキスクが主導権を握りその音楽性を大きく変え問題作と言われた「PINK BUBBLES GO APE」「cameleon」の頃。それまでのハロウィンの持ち味を捨てたその2枚は世間では非難轟々、だけど私はなによりキスクのボーカルに魅力を感じていたので、その2枚とも割と気に入ってよく聴いてたんだよね。

 

しかし狂った歯車はもう真っ直ぐには進まない。失敗作と呼ばれるようなアルバムを作ったキスクはなんとハロウィンをクビに。まじか!そしてスタイルの全く違うボーカリスト、アンディ・デリスをボーカルに。まじか!!

全然違うんだよ、ダミ声でポップなアンディ、艶のあるハイトーンのキスク。もちろん音域も違う。歌えるの?アンディに。いやアンディがダメとかそういうんじゃなくて、いいのそれで!?次のアルバムで音楽性も元に戻して、世間的にはあーよかった万々歳な雰囲気だったけど、私の不信感は爆発寸前。

 

そして決まった仙台公演(それまで運悪く来日しても仙台公演が無かった)。あの時のショック今でも忘れられない、なんとアンディはキメ曲の「eagle fly free」を1音下げで歌うではないか!一言で言うなら「ズッコケ~!」ですよ。あの曲は自在に伸びるハイトーンボーカルが魅力の曲、それを音程変えて歌うなんて

 

ちなみに誰も見ないと思うけどこれがオリジナルの「eagle fly free」です。


Eagle Fly Free - Helloween (Michael Kiske)

 

私は新生ハロウィンに大いに失望し、納得出来ない気持ちを便箋4枚くらいにビッシリ綴って当時仙台放送で深夜にやってたメタル番組宛に手紙を書いた程

ちなみにその手紙は番組で特に読まれるでもなく、後日仙台放送のタオルがポンと送られて来ました読んだ人引いただろうな

 

一方マイケルキスクはというと、俺メタル嫌い宣言をしてメタルを離れ、よくわからんつまんないアコースティックな方向へ。いやいや、それミッヒがやらなくてもいいじゃん。ミッヒの声はメタルが一番合うんだよ。ああ、頭の堅い偏屈メタラーと罵って頂いて構わない。私だって好きな服と似合う服が全然違うけど、そこ割り切って似合う服着るじゃん、それが誰しもが幸せになれる道じゃん。。

 

メタルを離れたキスクの活動はみるみる先細りし、ああ、これでもうミッヒが日本に来る事は無い、ミッヒの歌声を生で聴く事は一生無い。私も大学入学でちょうど東京へ行く時期だったし、ハロウィンの事もマイケルキスクの事も忘れ、平穏な日々へ。。

 

そして十数年後。マイケルキスクが「アヴァンタジア」というメタルユニット(ドイツ版渋さ知らズみたいな)へ参加しているというではないの。え?ミッヒが?あんなにメタルが嫌いと言っていたのになぜ?「アヴァンタジア」を立ち上げたトビアス・サメットという若者がミッヒの大ファンで、強烈なラブコールで実現したんだとか。ナイス!その活動でメタル心に火が着いたのか、ミッヒは「UNISONIC」というバンドをカイハンセンと共に結成。やった!すごい!

来日公演で2人で肩組んで演奏する姿にじーんときたよね。アンコールではハロウィンの曲もやって私の切望は果たされた。叶わないと思っていた夢がその時叶ったの

 

そして話は戻ってハロウィンですよ。ケンカ別れしたキスクと、黄金期のメンバーだったカイが戻る、奇跡のような出来事が現実に

そういえば私が高校生だった頃ボーカルが脱退したバンド、ジューダス、モトリー、ハロウィン、メイデン、全部今はボーカル戻ってるんだな。すごい事だな。

 

ハイトーンのボーカリストは歳取ると声が出なくなってライブで幻滅させられるパターンがよくあるけど、ミッヒは活動にブランクがあったおかげで全く劣化がない、なんという皮肉。。原曲キーの「eagle fly free」が遂に生で聴けるなんて

今じゃなければ多分ドイツまで遠征してたな。もう心残りはありませんが今は死ねないのでつつましやかに暮らします。去年からずっと家でハロウィンばっかり聴いてるけど、TV局へしみったれた手紙を書くようなメタラーが育ちませんように・・。